nico(ニコ)

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2015.4.20

1つのプランの裏側

どーもニコです。
今日の新潟はどんより曇り空ですが、暖かな春の空気が流れています。
たまには日々の仕事の中で起こったことをお話します。

ただ今計画中の住宅のお話です。
3月下旬にファーストプレゼンを終えて、お客様にもプランを気に入っていただけた物件です。
私もそれなりに良いプランが出来たので、このまま進めていこうと考えていました。
しかし1/100のプラン図を1/50のスケールに拡大し、模型を作る準備を始めたあたりから、
どうも違和感が出てきたのです。その違和感が何かは分かりませんでした。
妻は私よりも前の段階から感じていたようです。
二人でそのモヤモヤについて2日間くらい話し合いました。
打ち合せも迫っていたので、その間も模型作成の準備を進めつつ考えていました。
そして模型の外観が出来た時に答えが分かりました。
「家の中心に有って欲しい場所が家の中心にない・・・。」
私も妻も違和感はそこでした。

敷地は南側に道路が有るうなぎの寝床のような敷地で、田舎にしては間口が狭い敷地です。
しかしその地域では冠婚葬祭用に各家に仏間と床の間を配した和室、それに続く座敷を
少なくともそれぞれ6帖~8帖程度の大きさで、玄関から向かって左側に配置する(←これが今回の最大の難問)
という慣わしが有りました。お客様は更にその2部屋に繋がる6帖くらいの続き間が欲しいというご要望でした。
と言う事は普段使用ない客間が最低でも6帖間3室も必要なのです。
普段使わない部屋よりも普段使う部屋の環境を良くしたいというのが設計者の当然の気持ちです。
しかしその思いは「玄関を道路に面して欲しい」と言う一言でモロくも崩れ去ります。(涙)
新潟は雪国なのでアプローチを奥へ持っていけば行くほど雪掻きが大変になります。
ご夫婦ももう50代後半ですので雪掻きはなるべく少ない方が良いわけです。
玄関が道路に面する上に、客間3室は玄関に向かって左側に無いといけないので、
必然的に一番光が入る南の道路側に玄関と客間が配置され、光の当たり難い敷地の奥に住空間が配置されます。
その住空間へ如何に光と風を呼び込む事が出来るかが私たちの仕事です。
オーソドックスで、でも一番効果的な答えは中庭を作ることです。
ポイントはその中庭を如何に効果的な位置に配置できるかにあります。

最初に作ったプランでは中庭を最大限に生かしきれていなかった上に、生活の中心が家の中心に無かったのです。
ダメじゃん・・・! 模型作りをやめて打合せ2日前からある理想を掲げてプランを作り直しました。
「生活の中心であるLDKを家の中心に配置して、尚且つLDKで中庭を囲みたい」
そこから2日間で30枚以上のプランを作って、ようやく納得の1枚にたどり着けました。
そして打合せ当日、最初に提出したプランと今回のプランを1枚の紙に並べて比較しました。
説明前からご夫婦は新しいプランを気に入ってくれたので、あとは気楽にご説明。

家が出来上がるまで、より良い家を目指して私たちは考え続けます。